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2.キョーコの憂鬱

2010年02月06日 02:45

2.キョーコの憂鬱

「ね、ね!京子さんは知らないの?敦賀さんの相手!」

BOX"R"の収録現場、休憩中にそう話を振られてキョーコは固まってしまった。

「DARKMOONで共演した百瀬さんとかはどう?仲良さそうだった?」
「でも一般人っていう話もあるよ~、あーでも誰だか知らないけどうらやましいっ」

蓮の噂で盛り上がる共演者達の中、キョーコは引き攣った笑顔で「わ、私はちょっとわからないです~」となんとか答えていた。

「…随分噂になってますね。私、他の現場でも聞きましたよ」

キョーコと二人きりになってから、天宮千織がぼそりと呟いた。

仕事が少し落ち着いてきた蓮は事務所に立ち寄った時など、頻繁にラブミー部に顔を出すようになっていて、奏江だけでなく千織がいるときでもあからさまにキョーコにべったりな状態によくなっていた。
当然、ただならぬ仲であることはあっという間に千織にばれることになり、焦るキョーコに蓮は「俺はラブミー部員には頭が上がらないから」とキョーコにはよくわからないことを言って笑っていた。
千織は千織で、「京子さんはすごいですね、あの敦賀さんが彼氏ですか」と感心するくらいで特に反応もしていなかった。

他事務所にも関わらず、キョーコを追ってラブミー部に入った千織としてはキョーコに不利になるような事を口外する気はなかった。

(敦賀蓮の彼女なんて知れたら妬まれまくりで大変よね。別に京子さんならいいと思うんだけど…そうよ、かわいいだけで人気者気取ってるアイツとかアイツとかに比べたらっ…)

千織の沸きあがる毒オーラに少しビビリつつ、キョーコは
「あ、相手がどんな人とか…聞いた?」
と、おずおずと聞いていた。
「いえ、そのへんは全然。敦賀さんは人気ありますから、いい話のネタになってるだけじゃないですかね」
まったくくだらないですよねっもっと真面目に仕事しなさいよっ、と誰に毒づいているのかわからない千織に再び引き気味のキョーコだったが、その答えに少し安堵していた。

(でも敦賀さんは騒がれて困ってないかなぁ…。なんでこんな噂が広まっているんだろう)

蓮と会う時、主にキョーコが蓮のマンションに出向くのだが、キョーコとしてはかなり気を使って出入りしていたつもりだった。
それでもこんな噂が立つということは、やはり自分に隙があったせいかな、とキョーコは少し落ちこんでいた。
そして、まったく蓮と会えないという状態に、キョーコの方も堪えていた。
それでも弁当は社が届けてくれ、蓮からは毎晩定期便のように電話が来る。
その蓮の電話の声だけがキョーコの支えだった。

最近の芸能界は、芸能人同士の恋愛にも寛容で、多少雑音はあってもひどく叩かれるようなことはない。
先日も有名な俳優とモデルの熱愛が報道されたりしていた。
でもその報道が好意的だったのは両人ともそれなりに釣りあった地位にいるからだ、とキョーコは思っていた。
芸能人でもその相手が一般人の場合は名前も顔も伏せられ、暖かく見守りましょう的なムードになる。
しかし、キョーコは一応芸能人で、そこそこは名前も知られている。
DARKMOONは高視聴率を記録したドラマで、その美緒役と、いうことならかなりの知名度にもなるだろう。
だが、キョーコ自身はデビューして一年強、まだまだ新人の域を出ない。
むしろ経験も浅いのに注目を浴びすぎて、厳しい目で見られることも多い。
ここBOX"R"の現場でも最初はそうだった。
それでもなんとか作り上げた「ナツ」のおかげで、今はみんなキョーコには好意的だ。

───釣り合いなんてくっついてから考えなさい

奏江の言葉を胸に、日々努力を続けるキョーコだったが、頑張っている最中にこんなことになってはどうにもできない。
(いくらなんでも明日明後日に急に敦賀さんに釣り合う大女優になんてなれないしなぁ…)
以前見た夢のように、次の日起きたらミラクル女優キョーコさんになっていれば、堂々と蓮に会いにけるのに、などと思いつつ、憂鬱な日々を過ごしているキョーコだった。



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