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LOVE MANIA─1

2013年06月24日 23:54

もたもたしてる間に季節が変わってしまいましたのでボツにしようかと思いましたが、なんとか最後まで書けたのでUPしました。
季節はずれになってしまいましたが、ホワイトデーネタです。
でも、ホワイトデーはあまり関係なくなってますw
全6話でちょっと長くなりましたが、お遊び系ですので軽~い感じで読んで頂けたらと思います。
そんなわけで、まとめてUP!


LOVE MANIA─1





「なんでも言う事を聞くよ?」

ベッドの真ん中に座って彼はそう言った
立てた膝に乗せられた手には銀色のブレスレットが光ってる
袖を通しただけのパジャマの前は盛大に肌蹴ていて
浮かべた笑顔には夜の帝王が滲み出ていた

「じゃ、じゃあ、ちゃんとボタン閉めてちゃんと眠って下さい。明日もお仕事ですよ?」

そう言って、わざと眉を顰めて彼のパジャマに手をかける
視線と神経をボタンに集中させ、一つ一つ丁寧に留めていく
出来るだけ彼の顔や肌を目に入れないように、細心の注意を払った

「……そんな事でいいの?」
「いいです、いいです」
「おざなりな返事だな……」

彼は急にゴロンと横になって、私にくるりと背を向ける
大きな背中で子供のように拗ねるその様子を見て
思わずぎゅっと抱き締めてしまいたい気持ちが湧き、ムズムズする
でも、ここで負けてしまうのは危険だと思った
あらぬ方向に視線を泳がせながら、必死で衝動を抑える

「お返しはさっきちゃんと頂きましたよ?」
「あれは通りすがりに見かけたから買っただけって言っただろう?」

手乗りサイズのガラスの靴に入ったプリザーブドフラワー
白とピンクの薔薇がレースで飾られていて、とても可愛いかった
貰った時に、ついはしゃぎすぎて彼が何か言っていたのに気付かなかったらしい私に
彼は改めてあれは偶々目に付いて買っただけだと言い張った

「あれで……充分だと思います」
「…………」
「これ以上は貰いすぎですから」
「…………」

黙り込んでいる彼は私に背を向けたまま、長く深い溜息をついた
ちょっとだけ心臓がドキドキしてくる
ぐらぐらと揺れる気持ちを必死で抑えた
これはきっと罠
騙されちゃダメと何度も自分に言い聞かせていたけれど──

「俺に望む事なんて何も無いんだね……」
「えっ!?」

いかにも寂しそうな声でぼそりと放たれた彼の言葉に驚き、動揺する
そんな私に構うことなく、彼は背を向けたまま私を狼狽えさせる言葉を続けていく

「まぁ、仕方ないか……仕事優先でいつも何もしてあげられていないし」
「ええっ? そ、そんな事あるわけないじゃないですか!」
「無理しなくていいよ」
「無理なんてしてませんよ?」
「まぁ、これからはもう少し努力するよ……このままじゃ、俺に興味もなくなるよね」
「えええっ!?」

彼の言葉に驚きすぎて二の句が次げなくなる
興味がなくなるどころか、彼の出演したドラマやTV番組は勿論
時間の短い番宣だってこっそり録画して隠し持っている
彼についての記事があれば、それがどんな雑誌でも片っ端から買い込んでしまうから
そろそろ置き場所に困り始めていたりもするし
隠し撮りの写真が増える一方なのは人としてどうだろうと悩んでいたりもするのに
興味がなくなるなんて到底有り得ない
彼の言葉を強く否定するためにそれらを全部打ち明けてしまいそうになったけれど
寸前で思い止まった

「…………」

忌まわしい過去の自分と今の自分の姿がオーバーラップする
好きな事にのめり込み、暴走しがちな自分
全部告白したら引かれてしまう気がした
彼へのプレゼントを買ったために
私の銀行口座の残高が限りなくゼロに近づいた事も
知られてしまったら呆れられるかもしれない

「キョーコ?」
「えっ?」

いつの間にか身を起こしていた彼が戸惑いの表情で私を見ている
どれ位考え込んでいたのか、彼に呼びかけられてようやく私は我に返った

「どうか……した?」
「あっ、ごめんなさい……えっと、ええと……」

変なタイミングで黙り込んでしまった事に気付き、少し狼狽えた
彼に興味ないなんて誤解をされたりしたら本当に困ってしまう
どこまでが彼にとっての許容範囲なのか
頭の中で必死に考えた後、意を決して口を開く

「つ、敦賀さんが出演していらっしゃった番組は……どんなに短いものでも全て拝見しております」
「え……」
「当然、映画やドラマ、DVDになっている物も含みます。時間のある時はいつもそれで勉強させて頂いてます」
「そ……それは……どうもありがとう……」
「いいえ、こちらこそありがとうございます」

そう言ってから丁寧に頭を下げた
いつもの癖でつい正座してしまったのと
妙に堅苦しい物言いになってしまったのが気になったけれど
伝えても大丈夫だと思った部分はきっちり言えたと思う
こっそり安堵の溜息をつき、顔を上げ彼を見ると
彼はぽかんとした表情で私を見つめていた

「……敦賀さん?」
「あ、いや……話の続きを」
「あっ……えっと……なんのお話でしたっけ?」
「ホワイトデーのお返し……」
「ああっ! とんでもありません。これ以上何か受け取ったりしたら罰が当たります!」
「バ……バチ?」
「そうです。ですから……本当にごめんなさい」
「…………」
「このお話はここまででよろしいですね? 明日も仕事です。もう眠りましょう」

もう一度頭を下げて話を無理矢理終わらせた
何を謝っていたのか自分でもよくわからなくなったけれど
彼が何も言わないのをいい事に、灯りを消してベッドの中に潜り込んだ
暗くなり、静まり返った寝室の中
色々と後ろめたいせいでどことなく不安になってしまったので
黙って横になっていた彼の腕に遠慮がちにくっついてみる
すると彼はいつものようにそっと私を抱き締めてくれたので
ようやく安心して眠りにつく事が出来た



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