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2011Xmas─25日午後11時

2011年12月25日 23:00

これが最終話です。
お付き合い下さった方々ありがとうございました♪

25日午後11時

「え、じゃあ昨日?」
「そうです、椹さんの用事ってそれだったんです。社さんに頼まれたっていう封書を渡されまして」
「受け取る時間まで考えてやったのかな……」
「ここに来るまでどうすればいいか、利用する全ての交通手段、時間……マンションを出発してからの都内の電車の事から始まって、びっくりするほど詳細に書いてあったんですよ」
「ははは……さすがだね」

二人では少々狭いベッドの中。
ここまで来た経緯をキョーコに聞き、蓮は思わず笑い声を立てた。

「キョーコもわかってたくせに……今日だって何度も電話したのに気づかなかったな」
「絶対秘密にしておくようにって念を押されましたし」
「そういえば繋がらない時があったね……外に居た事も」
「ずっと電話口でドキドキしてたんですけど気づきませんでしたね」

キョーコはどこか得意そうにニコニコと笑った。

「困ったマネージャーとお嬢さんだね?」

蓮はキョーコの柔らかな頬をぐにゃりと指で摘んで恨み言を言ったが、顔は盛大に緩んでいる。

「俺を喜ばせてどうするのかな……誕生日なのはキョーコだろう?」
「ここにこうやって来る事ができて……すごい誕生日プレゼントです」
「俺からのじゃないんだけどね」
「お仕事先なのにこうして喜んで頂いただけで充分です」
「…………」

さらりと出てきたキョーコの台詞に、蓮はこれ以上顔が緩むのは大変だとばかり、誤魔化すようにキョーコの首元に顔を突っ込んだ。
首筋に唇が触れる度、キョーコは僅かに身体を震わせ、甘い声を漏らす。

「ん、も、もう……昨日の晩から色々準備して大忙しだったんですよ。お陰で全然寂しくなかったかも」
「そう……なんだ……」

"寂しくなかった"というキョーコの言葉に、蓮は敏感に反応する。
大丈夫です、平気です。
じゃあ、時間があるだけたくさん電話を下さい。
そう言って笑ったキョーコの中に、やはりその気持ちが隠れていたかと思うと蓮の胸が少し痛んだ。
社がやった事を、自分がやればよかったのかもしれないとも思ったが、仕事が絡むとどうしても動きが鈍くなる。
それを知っているからこそ、社が積極的に動いてくれたのかなと蓮は思った。

「社さんにお礼言わないとね」
「あっ! そうそう、お礼と言うにはおこがましいんですけど……クッキー焼いて持ってきたんです。社さんの所にも置いてきて」
「へえ?」

キョーコは身を起こし、ベッド脇に置いてあった自分のバッグをごそごそと漁り始めた。
ぼんやりとしたオレンジ色の間接照明に照らされるキョーコの白い肩と背中。
目に映る何気ないそんな光景が、今夜の幸運を改めて蓮にじわじわと感じさせる。

「本当はケーキにしたかったんですけど持ってくるのはちょっと厳しいかなって思いまして」

振り向いたキョーコの手の中にはいろいろな形をしたクッキーの入った袋がいくつもあった。

「相変わらず器用だね」
「ふふ……サンタにツリー、後は雪の結晶と……敦賀さんだけの形もありますよ!」
「ん?」
「はいっ、大きな星でーす」

大きな星の形をしたクッキーだけを入れた袋をキョーコは蓮の目の前に掲げる。
浮かべている笑顔はさっきまでベッドの上で見せていた顔とは違う、子供のように無邪気なものだった。

「クリスマスの飾り……? いや、わかった、夜明けの明星だ」
「あっ……すごい、覚えてました?」
「勿論……でも逆だね」
「へっ?」
「俺の中ではキョーコの方が輝いてる」
「……っ」

あっさりと放たれた蓮のそんな台詞に、キョーコは一瞬息を飲み、その後、その肌をみるみるうちに紅く染めていく。

「な、な、な……なぜそんな恥ずかしい事をさらっと言えるんですっ」
「いや、俺は別に恥ずかしくない」
「敦賀さんはっ、敦賀さんはそうかもしれませんけどっ……私は恥ずかしいです!」
「そろそろ慣れてもいいんじゃないかな」
「慣れませんっ!」
「じゃあ、慣れる様にこれから毎日」
「いっ! やめて下さいぃぃ」

真っ赤になった顔を両手で覆いながらキョーコは必死で止めるようにと訴えたが、蓮は全く意に介そうとしない。
ベッドの上に放り出されたクッキーの袋の中には、人の形をしたジンジャークッキーや、薔薇の形を模した物もあったが、この夜、蓮にその説明がされる事はなかった。




コメント

  1. 明太山葵 | URL | -

    ごちそうさまですっ!

    時差付き三部作、堪能させて頂きました。
    伏線が巧みに隠されてるのが上手いです。
    最後の台詞は確かに蓮くんは恥ずかしくないかも知れませんが、聞いてる方が恥ずかしいですよね。
    でも一番はやっしーの演出に乾杯です。赤いリボンって、別の意味で再利用されそう……すみません。

  2. Kanamomo | URL | -

    コメントありがとうございます♪

    コメントありがとうございます!
    本文の方でお返事させて頂いておりますので、よろしくお願いしますっ。

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