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永遠に秘密─Ren

2010年02月09日 13:10

蓮視点。



『敦賀さんを縛りたくないんです…』
そう言って、彼女は泣いていた。

彼女は常の俺の事を第一に考える。
弁当作りだって、俺の健康が第一だ、と言って自分の負担の事など気にしない。
少しでも時間があれば逢いたい……俺のそんな我侭のために、バレないようにかなり気を使って俺のマンションまで来てくれる。
少し早かったかもしれない……とも思える、俺の暴走した行為も黙って耐え、今は笑って許してくれている。
関係を隠している事だって、俺のイメージが悪くなるからとか、そういう風に考えている。
そして『早く堂々と付き合ってますって言えるような女優になりますからっ』なんて力強く言う。

ねぇ、キョーコ。
君が、自分をそんな女性になったと自負できるようになった時。
俺もちゃんと君にふさわしい男になっているのかな。
いや…きっと到底なれないだろうね。
俺の事を第一に考えてくれる君と違って、俺はいつも自分の事ばかりだ。
関係を隠すのは君のため、俺はそう考えていたつもりだけど本当は違うんじゃないかという気がするんだ。
俺と君との間に、邪魔になるような事を何一つ増やしたくないだけかもしれない。

俺を縛りたくない、と言って泣く程に俺の事を考えてくれている君。
それなのに、俺の方は君の都合など考えもせず、君を雁字搦めにして身動きひとつできないくらいに縛りたくてたまらない。
もし、反対に、君の方がいつかどこかへ帰るのを目標にしていたのなら、きっと俺はどんな卑怯な手を使ってもそれを阻止するだろう。
君にそうと気づかれないように、巧妙に、確実に。
でも気づかれてしまっても構わないけど。
そうだね、泣いて縋ってもいいし、脅したっていい。

仕事もしたいし、君も欲しい。
今の俺はかなり欲深い、我侭で自分勝手ないやな男だ。

隠していた弱い自分を少しだけ君に見せ、君を俺に引き寄せる手段にしたり
俺を縛りたくないといって泣いた君を見て
そんなに俺を求めていてくれているのかと思って喜んでいたりした。
純粋でまっすぐな君に比べて
俺はどれだけ真っ黒で汚れているんだろう。

今、君にふさわしくないと思えるのは俺の方。
まだ君に片思いしていた頃の俺の方がマシだったかもしれない。
でも、もう戻れないし、君を手放すこともできない。
君の心が俺から離れてしまっても、追うことはできないとは言ったけど
もし本当にそんなことが起きたら、自分がどうなるかわからないんだ。
へたをすると思い余って君を壊すかもしれない。

こんな俺は君には内緒だよ。
そうして今日も必死で大人な俺を演じてみせる。
君になにもしてあげられない俺が今、君にできるのは、役者として、先輩として、のアドバイスくらい。
それすらもできなくなる日を恐れて、こうして体を繋げる。
君が俺から離れられなくなるように、君の体の隅々まで調べ上げる。
何もかも初めてだろう君の、全ての快感を引き出して手中にしたい。
もう既に俺は君なしでは生きられない体だから、君にもそうなって欲しいんだ。
万が一、他の男が君に触れても物足りないって思うくらいに。
あぁ、でも他の男が君に…なんて、考えるだけで胸の奥が焦げ付きそうになる。

「……んっ…」
「…ここ…気持ちいい……?」
「ん………」
「………ここ…は……?」
「あっ…やっ…あぁぁっ……」

自分の快感など後回しで君の反応をひたすら追い続ける。
いつからこんな抱き方をするようになったのだろう。
もう体力の限界が近い君を、気遣う事もできないまま、執拗に攻め続ける。
虚ろな目で、俺にされるがまま揺さぶられる君の体の中をひたすら探って……もうこれは軽い暴力に近い。
忌々しい朝日も無視して、意識を失う寸前の君に俺の欲望の全てを注ぎ込む。
そして倒れるように眠る君の体に縋り付くようにして俺も眠る。

太陽など消え去ればいい
俺の味方は闇夜だけだ
月さえいらない
流れる時間さえ腹立たしい

また君と離れなければならない一日の始まりを陰鬱な気持ちで迎えながら
今日もまた穏やかな笑顔で、穏やかな俺を装って、君に朝の挨拶をする。

君に隠し事をされるのは嫌だし、俺も何も君に隠したりしたくない。
でも、これだけは。
こんな俺だけは……永遠に君には秘密だよ。



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