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ACT.172 続き妄想。

2011年03月07日 17:46

恐らく同じような展開を考えた方はたくさんいるはずっ、と思いつつも勢いで書いちゃったのでUP。
次回は4月だと思うと我慢できなくてww
前回同様書き逃げでございますー。
「私をどうにかしたいって言ってます?」

静寂よりも喧騒を──

そう思ったキョーコから発せられたその言葉は、キョーコの予想に反し、耳が痛くなる程の静寂をその場にもたらしていた。

(あ、あれ……?)

──何を馬鹿な事を言ってるんだ。いい加減にした方がいい。
──呆れたね、そういう意味じゃないよ。
──これだから君は心配だっていってるんだ。

キョーコが色々と予想した蓮の小言はいつまでたってもその口からは出てこない。
緊迫した沈黙に包まれた場で、キョーコの心臓の鼓動が徐々に大きくなっていく。

「……っ」

耐えられなくなったキョーコが口を開きかけた時、スタッフが二人を呼びに来た。

「お待たせしてしまって申し訳ありませーん! 敦賀さんに京子さん、お願いします」
「あ、はい、わかりました」
「は、はいっ」

静寂が破られた事に少し安堵したキョーコだったが、セットに向かって前を歩いて行く蓮の様子が気に掛かって仕方なかった。




「ありがとうございました!」
「ありがとうございました」
「あ、あ、ありがとうございました……」

インタビューを終えた蓮はにこやかにスタッフに挨拶するとその場を去っていく。
キョーコはその背中を見ながらこっそり溜息をついた。

「ふふ、京子さん、緊張してました?」

キョーコのそんな様子に気づいたインタビュアーが、微笑みながら声をかけてきた。

「えっ、あ、はい……こういうの慣れていないもので……」
「大丈夫、ちゃんとしてましたよ~。敦賀君もフォローしてくれたものね」
「そ、そうですね……」

さっきの静寂にやられていたキョーコは隣の蓮を意識しすぎて何度も返答に詰まる事があった。
しかし、その度にさりげなく蓮のフォローが入り、インタビューは恐いほどスムーズに、そして穏やかに終了していた。

(緊張してたのはインタビューのせいじゃなかったんだけどね……)

キョーコはインタビュアーやスタッフに挨拶をすると、パーティ会場へと戻るためにのろのろと歩き出した。






人気のない廊下をとぼとぼと歩きながら、キョーコはあの時の発言を少し後悔していた。

(もしかして……敦賀さん、本気の本気で怒って呆れちゃったのかも……)

呼びに来た時とは違い、キョーコを置いてさっさと会場へと戻ってしまったらしい蓮の姿はもうどこにも見えない。
蓮のそんな些細な行動にどこか傷ついている自分に気がつき、キョーコは自分に呆れていた。

(本当に心配してくれていたのに……あんな切り返ししなきゃよかった……)

会いたくはなかった。
でも、怒らせたり、嫌われたかったわけでもない。
我侭な自分をよくわかってはいたが、キョーコはどうしたら蓮の怒りがとけるかなと、ぐるぐると頭の中で考え始めた。

(今日はなんとかやり過して……後で電話……あぁ、でも電話出てくれるかな……)

以前、留守電に謝罪のメッセージを入れたことを思い出す。
あの後、蓮の怒りは収まってはいなかった。

(やっぱり、直接ちゃんと謝らないと……)

キョーコがそこまで考えて、廊下の角を曲がった時、突然強い力で手を掴まれ、後ろに引っ張られた。

「なっ……なっ……」

驚いたキョーコに構うことなく、手を掴んだ男──蓮はぐいぐいとキョーコの手を引き、会場からは逆方向へ向かって行く。
ぼんやりとした灯りしか点いていない、人気のないホテルの廊下。
蓮は立ち止まり、キョーコを壁に押し付けるようにして立たせ、逃がさないかのようにそのすぐ前に立ちはだかった。

「つ、敦賀さん……」
「…………」

薄暗い廊下で、じっとキョーコを見つめる蓮の、瞳だけが妙にはっきりとキョーコの目に映る。

「あ、あのっ……」

普通ではない蓮の様子にキョーコは怯え、狼狽えた。

「……さっきの話、途中だったね」
「えっ?」

──どうにかしたいって言ってます?

蓮の言葉で思い出した、自分の台詞が頭の中に響く。
キョーコは蓮から慌てて目を逸らし、下を向いた。

「あれはっ……も、もう忘れてください」

蓮に握られた手が熱くなる。
頬が赤くなるのを感じた。
心拍数が上がっていく。
そんな自分の変化を悟られまいと、キョーコはできる限り声を張って謝罪の言葉を口にした。

「すいませんでしたっ! あ、あんな変な事を」
「その通りだよって言ったら……君はどうするの?」

頭上からゆっくり静かに降ってきた蓮の言葉に、キョーコの心臓が痛いくらい大きく脈打った。

「なっ……そ……んな」

かっと顔全体が熱くなり、思わず見上げた蓮の顔は──薄暗闇に包まれた、キョーコが一番苦手とする夜の帝王の顔。
暗い中でもはっきりと見える蓮のその顔は、どこか不敵に笑っているように見えた。

(うっ……も、もう!! これはっ……絶対からかってるんだ!)

全身が震える位の心臓の鼓動を抑えながら、キョーコは再び下向き、目を強く瞑る。

(大丈夫っ……私は強い子! 負けない子! こ、こんなのに負けないんだからっ!)

呪文のように自分を励ます言葉を唱えながら、キョーコはさっき現れた"大人な自分"を必死で呼び戻した。
震える手で胸を押さえ、規則正しい呼吸を取り戻す。
そうして、ゆっくりと顔を上げ、自分を見下ろす帝王に挑むために口を開いた。

「どうにかって……どうするっていうんです? 私が聞きたいです」

今にも崩れ落ちそうな自分をなんとか隠しながら、そう言ってキョーコも不適に笑って見せた。

「…………」

蓮の表情がわずかに歪んだ気がした。
不適な笑みを浮かべた帝王がふっと姿を消す。
もしかしたら勝てるかも──そうキョーコが思った瞬間。

「じゃあ、教えてあげる」

今までキョーコが耳にしたことの無いような甘い蓮の声音。
その甘さが、言葉の意味を理解するのを阻害し、放心してしまったキョーコの唇に蓮のそれが重ねられていった。

(なっ……)

唇で感じた蓮の熱。
固まったまま、反応する事ができないキョーコから蓮はすぐに離れ、再び甘い声で小さく囁いた。

「一度目」
「え……」
「次で……二度目だ」

蓮の手が、そっとキョーコの頬に添えられた。

「にっ? にっ?」
「二度目……」

"大人な自分"など、あっというまに吹き飛んでしまったキョーコが目を回してオロオロしている内に、再度その唇が蓮によって塞がれていく。
二度目のキスは一度目よりも長く、唇で感じた吐息と中に入り込んできた蓮の温度がキョーコの奥底にある禁断の箱を揺さぶる。
力が抜け、倒れそうになるキョーコの身体を蓮は壁にそっと押し付けながら支え、キスは二度どころか三度、四度と数え切れないくらいに続いていった。



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