Happy New Year!

2011年01月01日 01:01

予約投稿でございます。


Happy New Year!


隣の部屋から聞こえる、TVのカウントダウンの声
点けたままの部屋の灯り
君が用意してくれた、年越し蕎麦の器もまだ片付けていない
寝室の扉も開けっ放し


年の終わりと、年の初めの君の中を
全て俺で埋め尽くす事ができて俺は満足なのだけれど
きっと君は後で俺を叱るのだろう
それさえも、少し楽しみだなんて思っていると知ったら
呆れて口も利いて貰えなくなりそうだ

「あっ……」
「ん?」
「年……明けちゃいました?」

紅く染まった唇から掠れ気味な声で君がそう問いかける
隣室のTVから、落ち着いて穏やかに新年を祝う声が俺にも聞こえた
年明けの瞬間の歓喜と興奮の色はもう既に消えているようだ

「明けたみたいだね……おめでとう……」
「おめでとうございます……もうっ、いつ明けたかわからなかったじゃないですか……」

額にうっすらと汗を滲ませながら、君はそう言って俺を少し恨めしそうに見る

「そうかな……多分わかってる」
「えっ……」
「一応……タイミングは合わせたつもりなんだけど」
「へっ? タイミングって……」
「…………」

彼女の問いには答えずに、笑顔だけを向ける
年明けの瞬間を隠すような意地悪はしていないのだけれど
君にはそれを認識するような余裕はなかったように見えた

「やっ! やだ、もう、敦賀さんの馬鹿っ」

珍しく察しのいい彼女は、俺の下でたちまち身体中を真っ赤に染めていく
触れ合っている肌が、少しずつ熱を上げていき
それが大人しくなっていた俺を再び揺り動かした

「馬鹿でごめんね?」
「知りませんっ! も、離れてくだ」
「駄目」
「ん、あっ……」
「…………」

お叱りは後で幾らでも受けるつもりだから
今、彼女の唇から零れ落ちた分は俺の唇で回収しておく


これから俺は、この部屋で初日の出が見たいと言った君に
全力で応えたいと思う
絶対頑張って起きていますから、なんて言っていたけれど
夜に弱い君にはきっと無理だろうから
俺のできる範囲で協力するよ
うとうとする暇なんてないくらい
二人でゆっくりと日が昇るのを待とう

夜明けが近づいたら、シーツに包んだ君を抱き上げ
ビルの谷間から顔を出す、今年初めての日の光に挨拶をして
その後ゆっくり二人で抱き合って眠りたい

久しぶりの休日のスケジュールを嬉々として立てた俺は
さっそくそれをこなす事に躍起になっていたけれど
少しだけ不安になった

夜明けまでにはまだ充分すぎる時間がある──

白く柔らかな肌は触れる度に温度を上げて薄紅色に染まっていく
一際紅く染まった唇からは俺の名を呼ぶ悩ましい声が何度も溢れ出し
飲み込んでしまうのが惜しくて、口付けさえも交わせない
しなやかな手足が呪縛のように絡みつき
熱く湿った指先が首筋から鎖骨に流れ、胸筋をなぞっていく

「んっ……」

少し震えた身体を誤魔化すかのように乱暴に彼女の中を掻き回した

「ああっ……」

身を反らして反応する彼女の姿がそんな俺に追い討ちをかける

「う……」

身体の奥からじわじわと這い上がってくる快感を無視できなくなっていた

不安が的中し、ペース配分が乱れていく
思っていたよりも早く、彼女の中に火がついたような気がする
さっきまでのどこか拗ねて怒っているような雰囲気の彼女が嘘のように
俺を見つめる彼女の瞳は潤んで情欲の色さえ浮かんでいる
うっかりそれに見入ってしまった俺の首筋に一筋汗が流れ落ちる
こうなった彼女に俺が太刀打ちできるわけもなく
俺の中にあった余裕は全て彼女の中へと流れ込み消えていく
点けたままの部屋の灯りは恥ずかしがる彼女を俺に披露してくれる好ましい味方から
俺を虜にする彼女の強力な武器になってしまった
明るい光の中で身悶える彼女から目が離せない

「キョーコ……」

我慢していた分、抑えが効かない
ベッドが軋む音と彼女の嬌声
乱れていくシーツと流れ落ちる汗
どれも全て俺を煽っている風にしか感じられなくなった──




新年を祝う賑やかなTVの音が微かに耳に届く
カーテンの向こうに部屋の灯りの交代をうるさい位に催促している日の光が見えた

「あ……」

急いで身を起こし、時間を確かめる
既に初日の出が、などと言っている時間ではなく
いつ眠ったのかさえも覚えていない俺はしばし呆然とする
隣にはまだ熟睡している彼女

「…………」

すやすやと眠り続けている彼女の寝顔を見つめながら
目覚めた彼女に向けるべき言葉を俺は必死で考える

甘んじて受けるつもりだった彼女の小言は
神々しい朝日の中では、かなり優しくなるのではなどと考えていたが
手を貸してくれるはずだった太陽は寝過ごした俺をあっさりと見放したようだし
俺の受けるべき小言は増大している状態だ

プリプリと怒る彼女も可愛いのだけれど
できれば貴重な休日は穏やかに笑う彼女と過ごしたい

どんな言い訳をしたら彼女の怒りを最小限に抑えられるか

今年初めての朝から俺の頭はそんな事で一杯で
とりあえず、彼女を起こさないよう静かにベッドから抜け出すと
何一つ片付けは終わっていないはずのキッチンへと向かうために
寝室を出て、その扉をそっと閉めた




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