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HappyBirthday

2010年12月25日 01:01

キョーコさん誕生日おめでとう!

あれっ、クリスマス色がまったくないぞ(汗
キョーコ誕生日がメインという事で!すいませんorz


HappyBirthday


毎年、恒例になるかもしれない、賑やかな、幸せの時間。
それは世間でいうクリスマス・イヴなのだけれど、少し形を変えている。
マリアの誕生日でもあるその日は、再び華やかで目を見張るような演出に彩られ、キョーコにとっても楽しい事ばかりで終わっていった。

日付が変わった瞬間にたくさん貰った「誕生日おめでとう」の言葉。
ひとしきりお祝いされた後、今年のキョーコには新たにやって来た幸せの続きがあった。

「絶対、今日中に帰るから……待っていてくれる?」

クリスマスといえど、蓮には仕事がある。
それでもやっぱり── 一緒にいたいと思った。



「そんなに急がなくってもいいんですからね? 少しくらい時間過ぎたって」
『大丈夫。絶対帰るって言っただろう?』
『れーん』
『あぁ、社さんが呼んでる……じゃあ、また』
「はい……あのっ、くれぐれも無理しないで下さい!」
『うーん……考えておくよ』
「なっ」
『それじゃあ』

蓮のマンションのリビングで、キョーコは切れた携帯電話を難しい顔で見つめていた。

(別に時間なんていいのに……もう、敦賀さんは妙なところで頑張るんだから……)

自分の誕生日のために、蓮が早く帰ろうとしている。
その事実だけで、キョーコは既に満足だった。

(日付が変わっちゃってもね……いいんだ、眠るまでが25日よ!)

そんな事を思いながら、音量を抑え気味にしたTVをぼんやりと眺める。
待つ事には慣れていたが、今日は少しいつもと違う。
何度も時計を見て時刻を確認する自分に気が付いて、キョーコは一人苦笑した。

(や、やだな……結局、気にしてるし……)

ひっそりと頬を染めながら、キョーコはTVの音量を少しあげ、無意味にその画面を凝視した。
しかし、昨日からの忙しさのせいか、眠気に襲われ、瞼が重くなってきた時、玄関から鍵を開ける音がした。

「あっ……」

ぱちりと目が覚めたキョーコが見た時計は11時45分。

(本当に帰って来た……)

急いで立ち上がり、玄関へと向かったキョーコを、リビングの出入り口で蓮が出迎えた。

「お誕生日おめでとう」

ただいまの挨拶よりも先に、そう言った蓮の手には赤い薔薇の花束があった。

「あっ! あ、ありがとうございます……」

差し出された花束を、少し驚きながらキョーコは受け取る。
どこかで見覚えのあるゴージャスで大きな赤い薔薇。

「こ、これ、もしかしてクィーン・ローザですか?」
「うん」

去年は一輪だったそれは、今年、その数を大幅に増やしていた。

「こ、こんなにたくさん」
「数が増えただけで悪いんだけど」
「そんな事ありませんっ! ありがとうございます……」

去年の事を思い出し、キョーコの顔が綻んでいく。

「嬉しさも倍増しました……」
「そう? それは嬉しいね、俺も」

薔薇を見て嬉しそうに微笑むキョーコを見て、蓮の顔も盛大に綻んでいく。

「ちょっとね、プリンセス・ローザにあやかっておいたから……見ておいてくれる?」
「え?」

抱きしめるように花束を抱えるキョーコにそう言うと、蓮は着替えるために奥の部屋へと行く。
蓮の言葉の意味がわからずポカンとしたキョーコは、一人リビングでもらった花束を覗き込んだ。

(あやかっておいた? どういう意味かしら……)

一輪一輪、確認するように見つめてみたが、特に変わった所は発見できない。
花束を横にしたり斜めにしたりした時、その中から生花が立てそうにない、乾いた金属音が聞こえた。

「ん?」

キョーコがそっと花束を逆さまにしてみた時、ラッピングの中から複数、何かが滑るように出てきて次々と床の上に落ちた。

「きゃっ……な、なに?」

慌ててキョーコは花束を横に置き、床の上に目をやる。
そこにはまず、銀色のチェーンのようなものが見えた。

「…………」

戸惑いながらも、その場に座り込み、キョーコが最初に拾い上げたものはブレスレット。
その横にはネックレスらしきものがいくつか、そしてハートや鍵、ショッピングバッグの形をしたチャームなどもたくさん転がっていた。

「こっ、これは……」
「このブレスレットはね、プリンセス・ローザと"似たような"石が使われているのを探してきたんだ」

いつの間にか、蓮はキョーコのすぐ横に来ていて、キョーコと同じように座り込み、床の上を見つめていた。

「つ、敦賀さん」
「さすがに二度目はないかなって思ったから……今年は俺が伝説の担い手」
「へっ……」
「人工物で悪いけど」
「んなっ! そんなっ……そんな事」

拾い集めたアクセサリーは、触れた感触だけで高価だとわかった。

(高い! 絶対、高いっ……しかも数が多い……な、なんでこんなに)

キョーコはアクセサリー達を握り締め、パクパクと口を開けたり閉めたりしながら蓮を見た。

──こんな高価なものをこんなにたくさん、駄目ですよ!

喉まで出掛かったその言葉は、蓮の、あまりに嬉しそうな笑顔に押し戻されてしまった。

「ん?」

そのまま固まっていたキョーコに、蓮は眩いばかりの笑顔を向け続けている。
キョーコは諦めたように静かに微笑んだ。

「ありがとうございます……でもちょっとびっくりしました……」
「それはよかった」
「もう、またそんな……あ、これ本当に似た感じの石なんですね……なんの石かな」

キョーコはブレスレットについていた、薔薇色に近いピンク色の小さな石をじっと見つめる。

「なんて名前だったかな……見た目で選んできたからちゃんと聞いてない」
「そ、そうですか……」

きっと値段さえちゃんと見てないんだわ、そう思ったキョーコは少し呆れたが、じわじわと嬉しさが広がっていく。
蓮から貰ったアクセサリー達を見て、にこにこしているキョーコを蓮も上機嫌で眺めていたが、ふと何か思い出したように立ち上がり、一旦部屋の奥へと引っ込んだ。
リビングに戻ってきた蓮の手に、赤い色の包装紙に包まれ、リボンのついた、小さな包みがあった。

「はい、これ、社さんからプレゼント」
「えっ? 社さんから? 私にですか?」
「うん、そう。誕生日のプレゼントだって」
「えええっ! 社さんからそんなっ」
「たいしたものじゃないから気にしないでくれって言ってたよ」
「ええー…そんな」

戸惑いながらもキョーコは蓮に促されるままにそれを受け取った。

「……社さんの誕生日っていつでしたっけ?」
「あー、そういえば聞いてないなぁ」
「今度……聞いておいて下さいね」

キョーコは包みを飾るリボンに挟まれていたメッセージカードに気づき、それを取り出して開いた。
そこには社の手書きと思われる、メッセージが数行。


18歳おめでとう!キョーコちゃん!

そしてありがとう
これで心配事がひとつ減ったよ


「ありがとう? それに心配事って……なんでしょうか?」
「え……」

蓮はキョーコと一緒にカードを覗き込み、しばらく考えを巡らせていたようだったが、急にピキンと固まった。

「敦賀さん?」
「あー…、あれだね、きっと俺の食事とか」
「そう……でしょうか? でもそれは私の誕生日とはあまり関係ないような……」
「い、いろいろ混ざってるんだよ、きっと」
「はぁ」

いまいち納得のいかない顔をしているキョーコに、蓮は何かを誤魔化すかのように思いっきりキラキラとした笑顔を向ける。
何かちょっとアヤシイ──キョーコがそう思った蓮の笑顔は、近づくにつれ淫靡な香りに包まれていった。


「18歳……おめでとう、キョーコ」

息がかかる距離で言われた祝いの言葉。


「あっ…りがとう…ござ」

お礼の言葉は全部言い切ることができなかった。


唇が触れたのは日付が変わる数分前。
そこから始まった二人だけで過ごすキョーコの誕生日は、空が白むまで続いた。




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