濡蓮制作委員会

2010年07月28日 17:13

桃色無印のきゅ。様のイラストから発足されたという濡蓮委員会。
イラスト萌え~とか言っていたら、お誘いを頂いてしまいました。
当初はゲロ甘になるよ、なんてほざいておりましたが(←なんも考えていない発言でしたw)いざ書いてみたらちっとも甘くない上に、短いし、暗いし…の三重苦orz

でも書いちゃったので参加する事に意義を見出し、勢いでUPしておきます!
他サイト様でもっと素敵なお話ありますので、イメージちげえよ!とお思いの方はそちらでお口直しを!
久々の言い訳しまくりです!うふふあはは(壊










部屋の中の空気が動いているのを感じた。
小さな物音を耳にしながらも、まだ眠りの淵を彷徨っていた。
再び部屋が静けさに包まれた時、隣にいるはずの人の姿を確認するためにぼんやりと開いた目に空のベッドが映った。

(い…ない?…………)

消えてしまった気配が覚醒を促した。
鈍い動きで、それでも慌てて時計を確かめる。
まだ、朝には遠すぎる時間だった。

(敦賀……さん……?)

部屋の静寂と薄い暗闇が漠然とした不安を生み出した。
昨日垣間見た、はっきりとしない影だけが心の中に浮かび上がる。

「…………」

迷ったのはほんの一瞬。
勢いよく身を起こすと、素早くベッドから脱け出した。





夜明けはまだ遠く外は暗かった。
それでも完璧な闇ではない。
街には様々な形で灯りが溢れ、漆黒の闇など存在しない。
自ら足を向けなければ、何も見えない暗闇になど落ちやしない。

時が止まった時計は足枷ではなく、戒めと歩くべき道への指標。
それなのに、俺はいまだ簡単に暗闇に足を囚われる。
光ある場所へと誘う手はたくさんあるというのに。

消せない過去を無闇に思い返しても前には進めない。
そっと心の奥底に置いておき、見つけてしまった時にはまた仕舞い込めばいい。
その作業に時間が掛かってしまうのは、まだ俺が未熟なせいだ。

ホテルを出て、あてどなく彷徨う俺の頬に冷たい感触が落ちてくる。
空を見上げる俺に投げ捨てられるように落ちてくる水滴。
夜明けを感じさせる光を容赦なく遮る暗雲は、闇に囚われた俺に追い討ちをかけるようにその身を削ってまで俺を濡らしていく。

ただの自然現象にさえ、愚かにも意味づけて散らかった過去が片付けられない。
自嘲気味に笑って、まだ暗い空を見上たまま、いつかくるはずの夜明けをひたすらじっとして待った。

好きなだけ降ればいい。

強くなる雨足に身を任せ、その勢いに押されるように足元に広がる濡れたアスファルトに目を落とした。
足を止め、立ち尽くす俺が雨に打たれながら待っているのは本当はなんなのだろう。

「何してるんですかっ!こんなところで……こんなに濡れて……」

背後から突然、声がした。

振り向いた先にいたのは───セツ。

セツ───のはずなのだけれど、少し違うような気がした。
激しく降り注ぐ雨が、彼女の表情を俺から遠ざける。
髪から頬に伝い流れる続ける冷たいそれが判断する力を鈍らせているのかもしれない。

「帰りましょう?」

彼女は黙って動こうとしない俺に近づいて来て、手を掴んだ。
こんな時間に、こんな場所にいた、明らかにおかしい俺の行動を問い詰める事もなく、笑顔さえ浮かべて。

「…………」

彼女は全てを知っていて、あえて聞かないのでは、などという幻想を抱く。
幻想というよりは願望に近いのかもしれない。
俺の全てを知った上で手を差し伸べる彼女を望む、欲深い自分を嘲笑した。
けれど───無視はできなかった。


突然、跪き、子供の様に彼女に取り縋る。
一瞬、驚いた表情をした彼女だったが、すぐに何事もなかったかのように俺に笑顔を向けた。

数時間前、自分が口にしたのと同じ様な言葉を彼女に向けたかった。

君は誰だ?

でも言葉にはできなかった。
その代わり、黙って彼女を見つめていた。
俺を見つめ返す彼女の姿はどうみてもセツなのだけれど、その瞳の中に見え隠れする俺に向けられた感情がどちらのものなのかわからない。

「早く……行きましょう?」

セツでも、最上キョーコでも……どちらでもいい。
明るい場所へと俺を導くのが君ならば。


暗く冷たい雨が彼女を濡らす事に我慢できなくなった。
立ち上がり、着ていたコートで彼女を包むようにして引き寄せ、雨からその身を隠す。

「きゃっ」

このままずっと抱きしめていたかったけれど……理性的でつまらない自分が言い訳を用意した。

「そのままじゃ濡れる……」
「わっ、私は大丈夫ですっ……それよりも早く戻らないと敦賀さんのほうがよっぽど濡れて」
「…………」

俺を探しに来た彼女が誰かを知る事ができた俺の夜は───急にそこで終わりを告げた。


なにかを一生懸命主張して暴れる彼女の身体を頑なにコートの中で抱き寄せたまま、俺と彼女は歩き出す。
俺の腕の中で彼女はいつの間にかセツになっていたが、それならばとカインが張り切って俺の中で目を覚ました。

「大人しくしていないと……また服が増えるぞ」
「なっ」
「雨の時は雨で……また要るな……あぁ、靴……靴も欲しいな」
「い、いりません!また、そんな…」
「濡れてしまったじゃないか……今日は別の店へ行くぞ」
「だからいらないってば!」

動揺しているのか、セツと最上キョーコを行ったり来たりしている彼女をコートの中に閉じ込めたまま、一緒に二人の部屋へと歩いていく。

何が変わったわけでもないのに、さっきまで雨の中で打ちひしがれていた俺はどこかへ消えていた。


気が付けば雨足も弱くなり───街にも朝が来ていた。




コメント

  1. ナポリタンMAX | URL | -

    みつけた〜!

    わーお。今頃こちらに気がつきました。
    濡蓮、素敵です。
    そこに入っていく文章も素敵。

    …しかし、確かにこの二人ってカサささなさそうですよねえ…。
    と言うか、似合わない…。

    カインセツはもちろん、Kanamomo様の小悪魔ナツも読んでみたいです。
    ご馳走様でした!

  2. Kanamomo | URL | -

    コメントありがとうございます♪

    見つけて下さってありがとーございます☆
    企画に参加させて頂いて書いたお話でした。
    コートにイン!がテーマでしたが、そういえば本誌ではシーツにインしてましたねw
    素敵と言って頂いてうれしいです!

    何か濡れてるイメージがありますよねぇw
    二人で濡れて暖めあってもらいたいものです!

    小悪魔ナツ!
    ひれ伏して足をお舐め的な! …あ、あれ、小悪魔じゃないような(汗
    アヤシイ妄想しちゃいそうです(笑)
    コメントありがとうございました!

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