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雨の休日

2010年06月16日 00:03

突発的季節ネタを。

お仕事3と似たような感じになりましたが、若干柔らかめ(?)なSSをひとつ。
柔らかいせいでかなりいろんな妄想が混じった、だだ漏れ小話です(←なんだそれ
それでもいいよ!な方はどぞ、です。




一年のうち、何度あるかわからない貴重な一日オフの日は朝から雨だった。

「わぁ……どしゃぶりですね」
「んー…残念だな」

せっかくの彼女と一緒の休日。
いつも出来る限り行きたいと言っている学校を休んでまで俺の部屋に来てくれている彼女と、できればどこかへ出掛けたかったのだが、とてもそんな天気ではなかった。

「仕方ありません、梅雨ですからね」
「うーん」

諦めきれずに雨でも問題ない場所を思いつこうとしている俺に、彼女はにっこりと笑って言った。

「じゃあ、今日はここで朝昼晩と全部ご飯作りますからね!」

彼女は随分と嬉しそうだ。

「お休みなんだから……キョーコも休んで欲しいんだけど」
「お休みなんですから、ずっとしたかった事をしたいんです。敦賀さんの食事を朝昼晩と全部作れるなんて事あんまりないんですよ?お弁当はちょっと違いますしね」

そう言った後、彼女は「まずは朝ごはんです!」と言いながらとても機嫌よく寝室から出て行った。

「…………」

外は雨で暗く、街並みさえも沈んで見える。
それなのに俺の部屋は、彼女が振り撒いていった笑顔の花びらで頬が赤く染まる位、暖かで明るい。

(俺の食事を作るってだけであんなに嬉しそうにしないで欲しいな……)

普段、俺の台詞ですぐ真っ赤になる彼女は、時々彼女自身が意図しない方法で俺を同じ目に合わせる。
すっかり緩んだ顔を戻すのに時間がかかり、彼女の呼び声で俺はようやくゆっくりとだけれどリビングへと向かう事ができた。



朝食を終えた後、すぐに彼女はお昼について考えているようだった。
それでもまだそんな時間には早くて。
自然とリビングのソファでのんびりとする形になった俺と彼女は、自然とその距離も近づいていく。

正確に言うと───俺が近づけていたのだけれど。

「あ、あの……敦賀さん……」
「ん?」
「なにを……してらっしゃるのでしょうか……」

極限まで俺に近づいていた彼女は、考え込んでいた隙を俺につかれて、もうすでに半裸だ。

「朝昼晩……」
「へっ」
「せっかくの休日だし……したかった事を」
「し、死んじゃいますっ!……お、お休みは、休んで下さいっ!」
「すごく休んでる」
「休んでないような気がしますっ……あの…ですからっ」
「じゃあ……せめて昼」
「なっ」
「朝とか夜は機会があるけど……お昼ってなかなか」
「なっ、なんの話ですか!」
「なんのって……聞いちゃうの?」

さっきの仕返しとばかり、明るい時間には似つかわしくない微笑で彼女を見つめたら、彼女はすぐに湯気が出そうな位に真っ赤になった。
それでも今日の彼女は必死の抵抗を見せて、俺に脱がされたブラウスを元に戻しながら早口で突然の提案をした。

「お、お買い物行きませんか!」
「買い物?」
「雨ですからっ……傘を差していればそのままの敦賀さんでも意外と気付かれないんじゃないかなっって」
「ん…歩いて行くの?」
「近所のお店でいいんです……ちょっとだけ」

襟元をぎゅっと握りながら、頬を紅くしてそう言う彼女の上目遣いに抵抗することなどできるはずもなく。
いろんな葛藤を抑えて、俺は彼女の提案に素直に従う事にした。

傘立てにあった自分の傘を持とうとした彼女の手を押さえ、思い切り作り上げた顔で笑ってみせる。
彼女が固まっている間に俺は自分の傘だけを持ち、強引に彼女の手を引いて玄関を出た。



これといって変わったものがない住宅街の道も、今日はなんだか特別な道だ。
時折すれ違う人がいれば、傘でさりげなく身を隠す。
今日の外出を阻んでいたように感じた雨は、代わりにこんな秘密のデートを演出してくれた。
一つの傘を二人で使えば、当然のように二人寄り添って歩く形になる。
調子にのって手を繋いでみれば、彼女も嫌がる様子を見せず素直に握り返してくれた。

彼女指定の店まで歩いて五分もかからなかったけれど、その道中の彼女はとても楽しそうで。
そんな彼女を見ているだけで俺も嬉しくなった。
普段あまり使われる事のない俺の傘が今日一番の功労者のようだ。

「んー…さすがにお店の中はちょっと目立つかもしれません」
「そうかな…?」

雨の平日の午前中で、店内にはさほど人もいない様だったが、それもかえって目立つ要因になるのかもしれない。
早く堂々と一緒に買い物できるようになりたいね、などと思いつつ、俺は一人店の外で傘を差したまま彼女が戻るのを待っていた。

ふと、横を見ると買い物中の飼い主を待っているらしい一匹の小さな犬がいた。
可愛がられているのだろう、専用のレインコートを着た白い犬が、大人しく座って店内をじっと見ていた。

(お仲間だな……)

少し近づいてみると、ちょっと警戒するように俺を見上げたが、すぐにまた店内にそのつぶらな瞳を向けた。
俺もその隣に立って……彼女が戻ってくるのを大人しく待っていた。


雨の休日はまだ始まったばかり。




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