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11.これも大事な事─Yashiro

2010年02月04日 11:24

11.これも大事な事─Yashiro


事務所に着くなり直行したラブミー部室の扉をノックする。

「はーい」

返事の声は期待通り。

「キョーコちゃんいるかな?」
「あ、社さん!お疲れ様です!」

椅子から立ち上がりペコリといつもの行儀正しいお辞儀。
座ったままでいいのに。でもこれが彼女のいいところだ。

「キョーコちゃんもお疲れ様~。居てくれてよかった、ちょっと用があったんだ」

なんて偶然を装ってみたけれど、今ここにキョーコちゃんがいるのはもう確認済み。
あぁ俺、今ならキョーコちゃんのマネージメントもできそうだな。
さすがにキョーコちゃんが今以上に忙しくなったら無理だけど。

「…私に…用ですか?」
「うん、蓮のお弁当のことでね」
「えっ…なにかまずいことありました…か?」

まずいことなんてこれっぽっちもあるもんか。毎日感謝しているよ。
キョーコちゃんのお弁当貰うようになってから蓮の奴、目に見えて元気になってるし。
貰う前のあの沈んだ感じが綺麗さっぱりなくなったんだ、ホント、キョーコちゃんにはどれだけ感謝しても足りないくらいだよ。

「とんでもない!全然まずいことなんてないよ?」
「そ、そうですか?…それならいいんですけど。敦賀さんはまだ現場ですか?」
「うん、今日もそうなんだ~、事務所には俺だけなんだよ」

本当は蓮もココに来たいんだろうけどね。なにしろ今は特殊な状況だからね。
まぁ今朝もキョーコちゃんに会えてるし、今頃キョーコちゃんのお弁当食ってるだろうし、それで我慢してもらうさ。

「あ、そうそう、それで用件なんだけど、お弁当代のこと」
「へっ」
「もう結構な回数になってるし、お金もかかってるでしょ?ちゃんと払いたいなぁって思って」
「と!と、と、とんでもないですっ!そもそもこれ私から勝手に始めたことですし!お金もらうなんてとんでもないっ」

うんうん。そういうと思ってたよ。
ラブミー部の仕事にしちゃえば簡単なんだけど、蓮の気持ちも尊重してやりたいし、俺としてもキョーコちゃんの"好意"からって線は残しておきたい。
でもやっぱりキョーコちゃんだけに負担させておくわけにはいかないんだ、大人として社会人として。
と、いうことでちゃんと受け取ってもらうよ?

「う~ん、でもねぇ…蓮の奴がさ、結構気にしててさ」
「……」
「いずれなにかお礼しなきゃとか言っててさ……でもあいつの礼って、ちょっとこわくない?」
「!!」
「金銭感覚がさぁ~ちょっと一般人と違うから、吃驚するような高級なものとか平気で買ってきそうなんだよね~」
「そ、それは……」

キョーコちゃんでも思い当たる節あるかな?
そういえば、キョーコちゃんが貰ったあのプリンセスローザ、なんの石なんだろうねぇ。
きっと俺もキョーコちゃんも知らない方がいいんだろうね。

「でさ、そんなお礼されたらきっとキョーコちゃん困るだろうなって思ってね。お弁当代ちゃんと受け取ってますから、って言えれば遠慮しやすいでしょ?俺としても蓮を説得しやすいし」
「た、確かにそう…ですね…」

どんなことを想像したのかな、すごい顔になってるよキョーコちゃん?

「これからの分だけでもいいからさ、ざっとどのくらいかかったか俺に教えてくれる?」
「あ、は、はいっ、じゃあレシート持ってきますから…。あ、でも私の分も入っちゃうから半分でっ!」
「いやいや、そんな細かいことしたら蓮が納得しないよ。俺が責められちゃうなぁ~」

作って持ってきてもらう手間を考えたら全額どころか倍出したいくらいなんだよ、キョーコちゃん。
さて、そろそろ納得してもらうおうかな。

「えー…えっと…」
「半額、とか言ってるとじゃあその半額分を俺が…とか言い出しそうだよね、あいつ。ごまかそうにも変に鋭かったりするしなー」
「た、確かに敦賀さんってそういうの鋭いですよね……」
「うんうん、だからね、全額出させてくれるかな?後は俺のほうでうまくやるから」
「は、はいっ、わかりました…すいません、なんだか返って悪いような…あ、でも、これからっ!これからの分だけでいいですからぁ!」
「うーん、でも、これまでの分もできたら……」
「い、いいいえええ!これからの分で十分ですぅぅぅ!!それでも申し訳ないくらいですから!!」
「そう?…キョーコちゃんがそこまでいうんならそうしようかぁ~。じゃ、またよろしくねキョーコちゃん」
「こちらこそよろしくお願いします!」

そう言ってペコペコと何度もお辞儀するキョーコちゃんに手を振って部室を後にする。
キョーコちゃん、これまでの分はね、きっと蓮がなにかするから。
説得する気もないけれど、説得しても無駄だからね、きっと。なにするんだろうねぇ。
できればキョーコちゃんの心臓にあまり悪くないようなことだといいんだけど。
俺としてはその前に早く、お弁当代、なんかを気にする間柄じゃなくなって欲しいんだけどね。
まぁ俺ができるのは蓮にそういう時間を作ってやることぐらいかな。
今はなかなか難しいけれど、なんとか調整してやるからな。
そうしたら…そろそろ本気だせよ?蓮。



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