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曇り空─4

2010年05月20日 11:05

曇り空─4


「むーん……」

テーブルの上に"石"達を置き、キョーコは一人唸り声をあげた。

奏江に言われてから改めて石を観察し、やっぱりこれ高いんでしょう、とキョーコは後から蓮を問い詰めていた。
キョーコから視線を逸らし「そんな事はないよ」という蓮の明らかにとぼけた様子から事実を悟ったキョーコは無駄遣いしないで下さい、と懸命に蓮に訴えた。

「わかった、わかった。もう石は買ってこないから」

そんなキョーコの非難の声も、蓮はどこ吹く風といった調子で心配はつきなかったが、それでもこれ以上買ってこないという約束を取り付けて、キョーコは一応納得はしていた。

総計十個になる、蓮が持ってきた石達。
値段の事は恐ろしくてとうとう聞けなかった。

(もう……なぜ急にこんな事はじめたのかしら……)

キラキラと輝く石達を見ながら、キョーコは記憶を辿る。
心当たりは───ひとつだけあった。

少しだけ早く逢えた日の事。

(思い出すと寂しいなんて……つい言っちゃったせいかなぁ…やっぱり)

恐らく突然に贈られた指輪もそれが原因なのだろうと思い、キョーコはふぅと軽く溜息をつき、自分の迂闊さを呪う。
今夜も勝手に蓮のマンションに上がりこんで、こんな風に彼の帰りを待っている。
帰宅が遅い時は、来いなどと蓮は滅多に言わない。
ほんの少しの時間だけでも会えたらと、自分から勝手にやって来て、そして勝手に一人で寂しがっているのだ。

(いないの分かってて乗り込んできて寂しいだなんて……ホント我侭よね、私)

そんな自分の我侭に、蓮はいろんな工夫をして答えようとしてくれている。
その事はやはりキョーコは嬉しかった。

「……そうだっ!」

急に何かを思いついたキョーコは、いつもの自分のバッグから小さな財布を取り出した。
蒼い石──コーンを取り出してテーブルの上に置く。
そして、蓮から貰った石達で周りを囲んだ。

賑やかになったわよね?

我ながら子供っぽいとは思うものの、キョーコはおままごとみたいに石を並べて遊び始めた。
大きさで役柄を決めてコーンと一番の仲良しはどの子にしようなどと考えているうちに、玄関から扉を開閉する音がした。

「おかえりなさーいっ」

蓮を出迎えるために、キョーコは零れんばかりの笑顔で玄関まで駆けていった。




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