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04.たとえば未来に行けるとしたら

2010年05月04日 00:40

■■■ GW緊急プチ企画 ■■■

お題でリレーSS★2010GW Version!
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jugoyasoの紫苑さんと
Someone's delusionのKanamomoが
お送りするリレー小説☆

内容や展開についての事前打ち合わせ一切ナシ!
相手のお話を受けて、お題に沿ったSSを1話ずつ
交代で綴ります。00~05の全六話で完結。(の予定w)

担当SSの更新はそれぞれのブログでのみ行いますが
先方SSがUPされたらこちらでもお知らせ致します。

どんなお話になるか、書いてる本人たちも予測できてません(笑)
己の限界にチャレンジだ!それいけ妄想界の住人達よ!
それでは蓮とキョーコのLove storyをお楽しみください!

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【お題】たとえば、ね

00.prologue [by Kanamomo] 5/01Up
01.たとえば、世界に君と二人だけだったら [by 紫苑] 5/02UP
02.たとえば、隣に君がいなかったら [by Kanamomo] 5/02UP
03.たとえば、過去に戻れるとしたら [by 紫苑] 5/03 UP
04.たとえば、未来へ行けるとしたら [by Kanamomo] 5/04UP
05.たとえば、この温もりが消えてしまったら [by 紫苑]

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【お題提供:F-9


04.たとえば、未来に行けるとしたら

「何分ですか」
「二十分」
「…………」
「不満があるなら今回はなしにするよ?」
「あ、いえ、ありません。わかりました」

"一ヶ月の試練"は俺だけでなく、俺のマネージャーにも波及していたようだった。



***



ミラノから帰国後、すぐに開始された分刻みの殺人的スケジュールな毎日。
再び、彼女と会える機会が少ない日々のスタートだったが、同じ国、同じ街、同じ空の下に彼女がいるならそれで充分だと思える位に余裕はできた。

それでも───小刻みにやってくる小さな限界。

電話の声だけじゃ足りない。
遠くから眺めているだけじゃ満足できない。

翼が生えて飛んでいってしまうのは彼女の方ではないか。

一陣の嵐のように、俺の心の中をそんな想いが渦巻く瞬間はあるが、迂闊な行動に出るような自分は抑える事ができるようになっていた。
またおかしな噂が立ったりしたら、あの一ヶ月が無駄になる。

『私は寂しくてずっと泣いてる……そんな夢でした』

寂しげな、あの夜の彼女の顔とその言葉を思い出す。

彼女にあんな思いを二度とさせないように気を引き締めて、今日の仕事に打ち込む。
揺れ動く弱い自分を完全に消す事はできないけれど、隠す努力ならできる。
そしてそんな自分を微塵も表に出したつもりなどなかったのに、いつしかスケジュールに微妙な変化が現れた。

まるで仕事のように挟まれる、彼女との逢瀬の時間。
最初、社さんの口からそれが淡々と、いつもの仕事の内のひとつ、のように語られた時、俺は一瞬気付く事ができなかった。

「え?え?」
「なに?会いたくないの?」
「いや、もちろん会いたいですけど……そんな普通に仕事の様に予定に組み込んでいるとは……」
「……俺はね、蓮」
「は、はい……」

軽く息を吐き、予定のびっしり書き込まれた手帳をぱたりと閉め、真剣な顔で言葉を紡ぎ出す社さんに、俺は少し驚いて真剣に耳を傾けたが──

「俺は……LMEの社史にでも残るような伝説のマネージャーになろうかと思ってるんだ」
「は?」

まったく想定した事もない社さんの言葉に、俺は驚きすぎて開いた口が塞がらなかった。
何かわかりにくい冗談でも言っているのかと思ったのだが、社さんの顔はいたって真面目だ。

「芸能人ってのは、プライベートも仕事とかぶる面が多いよ。付き合っている相手をわざとオープンにしてそれを仕事に生かす人もいる。お前の場合、それは駄目だな。相手側の仕事に悪影響がでる」
「は、はい……」
「だから秘密にするわけなんだけど……唯でさえ忙しいのに秘密にすれば益々会う機会は減る。なかなか会えない状態が続くとお前の精神衛生上よろしくない」
「…………」
「キョーコちゃんだってそうだろう?どんな仕事だってモチベーションってのは大事。尋常じゃない忙しさでそういう時間が取れないお前をなんとかするのが俺の仕事」
「社さん……」
「なかなか会えなくて……ちょっと不満がたまってるだろ。まぁちょっとロマンに欠けるけど、この際、きっちり予定に組み込む事にしたから」
「きっちり……ですか」
「キョーコちゃんのスケジュールも全部俺に教えてもらう事にした。で、うまい事会えそうな場合は時間をとって正式に予定にいれるからそのつもりで」
「あの……社さんは大丈夫なんですか…そこまでして」
「俺?俺はもう仕事の鬼になってるから。いつでも完璧な『敦賀蓮』を皆様にご提供だよ」
「は……あはは……」
「今日はお前の方がキョーコちゃんの控え室に行く。もう伝えてあるからな。ただし、時間は短いよ?一分一秒でも過ぎたら容赦なく俺が介入するから、その辺は肝に銘じててくれ」
「わ……かりましたよ……もう……」

仕事の鬼と化した、敏腕で有能で……そして心から俺と彼女を応援してくれる人のやたら真剣な顔を見て、感謝の気持ちで一杯になっていたのに、俺はなぜか涙が出るほど笑い続けていた。


完全無欠の門番を手に入れた俺は、彼女の控え室で久しぶりの彼女の感触を味わう。
二人並んでソファに座り、これ以上はない位密着して密やかに会話を交わす。

「聞いた……?社さんから……」
「聞きました……もう、社さんは私より私のスケジュール……詳しいですよ?」
「そう…?」

ふふ、とちょっと面白そうに笑う彼女の微笑を思い切り唇で掠め取る。
まだ仕事がある彼女にメイク直しの手間をかけるけど、それは大目に見てもらおうとばかり、容赦しない。

「ん……」

服の隙間から、手を滑り込ませ彼女の肌に直接触れる。
俺の手が彼女の身体のきわどい場所に近づいていくと、少し焦ったような彼女の声。

「だ……だめですよ……そんな時間は」
「大丈夫……」

服を脱がせられないのは残念だけど、その感触だけで俺には充分だ。
彼女の抗議の言葉はやがて甘い吐息に変わり、その首筋に唇を這わせながら、少しずつ高くなる彼女の体温に煽られ、俺の手は躊躇うことなく奥へと侵入していく。

「あっ……」

思わず出てしまったとわかる、その彼女の声に呼ばれるように再びその唇へと戻った俺の口は、彼女から零れ落ちる全ての囁きをゆっくりと飲み込みながら、指先だけは忙しく動かした。
静かな控え室の中に、淫らな音だけが微かに響く。
可愛い喘ぎ声は俺の中にだけへ直接流れ込んでいた。
白い頬が段々と薄い薔薇色に染まっていき、彼女の瞳に二人だけの夜にだけ浮かぶ誘うような色が見えた。
俺の脚をこするように動く彼女の脚は何かを求めるかのように何度も俺に絡みつき、彼女だけを満足させるつもりだった俺をたやすく揺さぶった。

「………っ」

顔を上げ、咄嗟に時間を確認する。
テーブルに置いていた自分のカバンの中にある小さな物にこれからの事の全ての罪をきせ、乱暴に手を突っ込んで掴み出す。
俺の行動に気づいた彼女が、明るい部屋の元では滅多に見せない妖艶な顔で、俺の首に抱きついた。

「キョーコ……」

小さな呼び声を合図に、彼女の身を覆う布地達を障害にならない程度、横にずらしただけの落ち着かない状態で彼女の中に身を沈める。
短く設定された時間さえ、俺と彼女の時間を演出するためのようで、その効果に目が眩む。
今にも溢れ出しそうなお互いの声を必死に飲み込み合いながら、狭いソファの上での彼女との短い、でも濃密な逢瀬はあっという間に終わりを告げた。
服の乱れを直し合い、俺は時間ギリギリまで未練がましく何度も彼女にキスをしてからようやく彼女の控え室を出た。



***



「あ、敦賀さんと社さん!こんにちは!」
「こんにちは~キョーコちゃん。お昼?一緒にいいかな」
「はい、もちろん」

今日の彼女との接点はTV局のカフェテリアで昼食を一緒という形。
二十分という短い時間だけれど、俺にとっては貴重な時間だ。

「あまり時間がありませんね?さ、少しでもいいんですから何か口にして下さいねっ!」

食事などどうでも良かった俺を、知っていますとばかりに彼女はそう言うと、突然猛スピードで駆け出し、それと同じ速さで、なにか色々と盛り付けた皿を手にして戻ってきた。
そんな彼女の様子を見て、俺はつい吹き出してしまう。
そして、そんな俺達をにこにこ顔で眺めていた社さんが、ふとカフェテリアに置いてあったTVに目を留めていた。

「あれ……」
「どうしました?」
「いや、早いなぁと思って」
「え?」

思わず釣られて見たTVに映っていた『あの大物カップル、スピード離婚!』の文字。

「確か……お前がイタリアから戻ってきた頃に結婚した二人だよな……」
「そう……でしたね…」
「…………」

TV画面の中で、芸能レポーターが彼らの離婚の原因について熱心に語っている。

『とにかく二人とも忙しくて、すれ違いが多い毎日だったようですね』

関係ないと言えばないのだけれど、芸能人同士だという事、そして自分達の今の状況を考え、漠然とした不安が心に広がった。
ちらっと彼女の様子を盗み見てみれば、妙に真剣にTV画面を見つめている。
なんとなく、しんみりしてしまったその場に、社さんのニヤリとした顔が現れ、大きな音声を流すTVよりも俺と彼女の目を引いた。

「きっと優秀なマネージャーがいなかったんだねぇ」

俺と彼女が見つめる中、したり顔でそう言う社さん。
その社さんの言葉と様子に、俺も彼女も思わず声を出して笑っていた。

少しだけこれからの俺達の未来を想像してみれば、そこにはしっかり者のお兄ちゃんのごとく、甲斐甲斐しく世話を焼く彼の姿があって……
もし、その場へ行けるのならば、つい笑ってしまう自分を抑えて、真面目に感謝の気持ちを伝えられるのにな、と俺は思った。





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