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02.たとえば、隣に君がいなかったら

2010年05月02日 18:58

■■■ GW緊急プチ企画 ■■■

お題でリレーSS★2010GW Version!
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jugoyasoの紫苑さんと
Someone's delusionのKanamomoが
お送りするリレー小説☆

内容や展開についての事前打ち合わせ一切ナシ!
相手のお話を受けて、お題に沿ったSSを1話ずつ
交代で綴ります。00~05の全六話で完結。(の予定w)

担当SSの更新はそれぞれのブログでのみ行いますが
先方SSがUPされたらこちらでもお知らせ致します。

どんなお話になるか、書いてる本人たちも予測できてません(笑)
己の限界にチャレンジだ!それいけ妄想界の住人達よ!
それでは蓮とキョーコのLove storyをお楽しみください!

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【お題】たとえば、ね

00.prologue [by Kanamomo] 5/01Up
01.たとえば、世界に君と二人だけだったら [by 紫苑] 5/02UP
02.たとえば、隣に君がいなかったら [by Kanamomo] 5/02UP
03.たとえば、過去に戻れるとしたら [by 紫苑]
04.たとえば、未来へ行けるとしたら [by Kanamomo]
05.たとえば、この温もりが消えてしまったら [by 紫苑]

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【お題提供:F-9


02.たとえば、隣に君がいなかったら 

ミラノについてから毎日が嵐のように過ぎていった。

多くの人で賑わう会場。
ひしめき合うジャーナリスト、カメラマン、バイヤー、そして見るも華やかな招待客達。
アール・マンディのショーの会場の舞台設定は、彼女が見たら喜びそうな西洋風の古城のようで──

人々のざわめき、眩しいライト、慌しい時間の流れ。
そんな中に身を置いていても、ふとした瞬間に、思い出すのは彼女の事ばかり。


お体には充分気をつけてくださいね?

ちゃんとお食事もしてくださいね?

電話下さい……待っていますから……


ホテルの一室で、就寝前に電話にかじりつくのが俺の日課になった。
俺を取り囲むのが夜の闇なら、彼女を包むのは優しい朝の光。
時差さえも俺の気持ちを代弁するかのようだ。

願わくば──彼女も少しは寂しがってくれていますように。

会えないという現実に理由もなく募る焦燥感。
確かにこの手の中にいた温もりが、自分に都合のいい夢だったのではないかとまで錯覚する。

彼女の笑顔を守るため──そう思って受けた仕事は蓮から笑顔を消した。

夢ではない事を確認するために今日も彼女へと電話をかける。
日が経つにつれ、発信ボタンを押す指が僅かに震えるようになっていた。

「もしもし……おはようキョーコ」

返事が返ってくるのを待つほんの一瞬にさえ、心臓の鼓動が早くなる。

『おはようございます…』



蓮からの電話を切ってから、キョーコは時間を確認する。
今は日曜日の朝9時。
午前中は何も予定がなく、少しゆっくりとした朝にかかってきた蓮からのラブコール。
電話はいつも朝かかってくる事が多かったので、今度こそ自分から、と思いながらもキョーコはなかなか電話する事が出来ない。

(モデルのお仕事は……内容とか時間の流れとか……詳しい事はほとんど知らないのよね……)

深夜早朝にまで、仕事が及ぶこともあるのだろうか。
そんな時に電話したら迷惑になるかもしれない。
出られなくても、それはそれでいいのだけれど、出られなかった事を残念がる蓮の姿が目に浮かぶ。

マイナス7時間。
ミラノと日本の時差。
向こうの時間を考えてキョーコは深い溜息をついた。

(日に日に……声に元気がなくなっていくのは…気のせいかしら……)

忙しさにかまけてまた食事をろくにしていないのではないか。
無理をして体調が悪くなったりしていないか。
自分に電話するために……睡眠時間を削っているのではないか。

蓮の声から元気がなくなるにつれ、キョーコの心配事は増えていく。
別れ間際、つい自分の口から出てしまったおねだりを、今は少し後悔するキョーコだった。

私の時間など気にせず電話してくれていいのに。

蓮から電話が来る度、つい向こうの時間を計算してしまうのがキョーコの癖になってしまった。
まるで全てお見通しだと言わんばかりにキョーコの都合の悪い時にかかってくることがない。
どうやってわかるのだろうと不思議に思う位、いつもちゃんと電話に出る事ができる状態だった。

(私のスケジュールが……国境を越えて流れてる気がするわ……)

眼鏡をかけた彼の敏腕マネージャーの姿がキョーコの脳裏に浮かんだ。

電話がかかってくるのは朝が多いのだが、キョーコの予定に合わせ、遅い時は遅くにかけてくる。
それは蓮が深夜まで起きているという事で───

(かえって心配になっちゃうわ……)

現在の状態は、どう考えても自分よりも蓮の方が忙しい。
こんな時はもう少し我侭を言って欲しい。
こちらが深夜だろうが早朝だろうが、時間など構わずに、蓮の余裕がある時にだけ電話して欲しい。
何度もそう言ったのに、相変わらずキョーコの方に気を使った時間設定で小まめに電話をして来る蓮。
二人だけの時はあんなにも強引に愛を囁き…迫って来るのに、こんな時はひたすらキョーコに気を使う。
蓮の予定がまったくわからないキョーコは、自分から蓮になかなか電話できないのが残念でならなかった。


……俺と付き合ってること、後悔してない?


あの夜、蓮が自分に言った言葉がキョーコの脳裏に蘇る。

そんな事あるわけないのに──あの人は自分の価値をわかってなさすぎる。

日本中の女性が諸手をあげて賞賛するその美貌とスタイル。
もちろん見た目だけでなく、中身だってそうだ。
常に役者としての努力を怠ることなく、完璧を目指している。
そして優しくて……いつも気を使ってくれて……
時折出現する大魔王や帝王も……ちょっと子供っぽい所も、既にキョーコにとっては愛すべき対象だ。

(大魔王は怖いんだけどね……出現するタイミングがなんていうか私の方の問題というか……)

もういっそ、その昏いパワーはこういう時に使ってくれないかしら、とまでキョーコは思う。

(ゴォーっと黒~い空気纏って、キョーコから電話してくれてもいいじゃないか……とかね……)

そんな我侭をいう蓮の姿を想像して、つい顔がニヤついてしまう。
会えない寂しさから、少し妄想癖が悪化したかしら、とキョーコは一人で焦り、赤面した。

愛し愛されたくないという、面倒な病にかかっていた自分。
そんな自分をあの人は長い時間かけて待っていてくれた。
そう、彼の方から先に自分を好きになっていてくれたという、今となっては信じられない事実。

(まぁ…今考えると…私もかなり怪しい時期があったんだけどね……)

病のせいで自分の気持ちを否定し、頑なだったせいで時間や手間ばかり彼にかけさせてしまった。

もっと早くから素直になっていれば、もう少し今とは違う形に───

自分からガンガン蓮に積極的にアタックしていれば、どうだったろうか。
そのせいでどんな噂が立とうとも構うもんですか、とばかり、なりふり構わず攻め込むの。
彼の周りを取り囲む、どんな美女にも負けずに威嚇して……追い落とす勢いで……

その想像の中にいる自分はもう既に自分ではないことには気づかず、キョーコはいろんなパターンを想定しては現状に繋げてみる。
要は、今、こうして離れ離れになったりしないように、という軽い現実逃避を滲ませた頭の中での一人遊び。

二人の間を隔てる長い距離。
隣に愛しい人がいない、会うことがままならないという哀しい現実。

それが一ヶ月という限定された期間でも、二人の中にそれぞれ小さな変化がもたらされた。



「噂の方は……大分収まったんじゃないの?」

ラブミーの部室で、奏江がキョーコにそう話しかけた。
蓮がいない間、キョーコを密かに支えていてくれたのは無二の親友の存在。

「そう…かな?」
「敦賀さんがミラノへ行ってもついて行った女がいるなんて様子がないから……ガセかもねって話もあるみたい」
「そ、そう?」

奏江の言葉を聞いて一瞬ぱっと明るい表情をしたキョーコ。
しかし、奏江はそんなキョーコに少しだけ申し訳なさそうに後を続けた。

「まぁでも一ヶ月だからね……微妙って言えば微妙って声も」

たちまち絶望の淵に立たされたような顔をするキョーコ。
奏江は慌てて、そんなキョーコを慰めようとする。

「そ、そんな顔しないの……一応収まり気味なのは確かなんだから」
「うん……」

しおれた花のように項垂れるキョーコに奏江はかける言葉を見つけられず、ただ困ったように見つめるだけだった。




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